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三菱航空機 MRJ
YS-11以来40年ぶりの国の助成を受けて開発される国産旅客機。 初飛行を2012年第2四半期に,初号機の納入は2014年第1四半期を予定しているようだ。

1990年代後半,キャビンの騒音が少なくスピードに優れる小型ジェット機は,中小エアラインに注目されて販売数を急速に伸ばした。この30席から50席クラスの小型ジェット機のリージョナル・ジェット(地方都市間を結ぶジェット機)の成功によって,同クラスのターボプロップ機は急減して,これもでこのタイプを生産していた欧米4社が2000年代初めまでに旅客機事業から撤退してしまった。

当初,機体は最先端複合材を多用して軽量化(主翼・尾翼を炭素系複合材料),空気抵抗を減らして高性能化,従来型よりも格段な燃費の向上で運航費を大幅に削減,最新の情報技術をふんだんに取り入れた操縦システムを採用して操縦を容易にするというアイデアだった。開発費は500億円で,その半分は国が補助するとした。(NEDO)
計画では,複合材の使用量は全体の3割程度とB787の約5割に比べるとかなり使用量が少ないが,これは、複合材は伸びる力に強いが衝突など押す力に弱い特性から考慮されたようだ。しかし,実際にはアルミ合金製へ,地上設備や車両との接触,また地方空港での整備性を考慮し,変更された。

燃費はライバル機に比べて2割程度良いようだ。航続距離で,MRJ70/90LR型で欧州や米国の全域をカバーできる能力を持つ。

国産旅客機といわれているが,エンジンはP&W,油圧システムはアメリカのパーカー・エアロスペース社,電源・空調・補助動力・燃料タンク防爆・高揚力装置・防火の各システムには,アメリカのハミルトン・サンドストランド社,電子機器及びフライト・コントロールシステムは,アメリカのロックウェル・コリンズ社が開発している。日本の生産シェアを見てみると30%程度。これは本当に国産旅客機と言えるんだろうか? まあ生産地は日本だから国産なのかな。

P&WのエンジンPW1000Gは,ギヤードターボファンエンジンで,ファンの駆動にギヤを介する構造で従来型より相対的に大きいファンを用い高バイパス比のエンジンに出来る。その結果,燃費の向上が期待できるようだ。MRJ向けのPW1000G最終組み立ては,三菱が日本国内で行うらしい。

最終組み立ては,愛知県豊山町の三菱小牧南工場で行われる予定。小牧南工場はかつて,YS-11の組み立てを行った格納庫がある工場。 MRJの開発を通して様々な産業への技術移転が期待される。

受注状況は,他のライバル機に比べてかなり苦戦しているようだ。累計では130機(オプション60機含む)程度の受注。当初採算ラインは350機とされていたが,これが現在500機に変更されている。


MRJ70STDMRJ70ERMRJ70LRMRJ90STDMRJ90ERMRJ90LR
全幅29.7m
全長33.4m35.8m
全高10.4m
エンジンP&W PW1000G 66.7kN (15,000lb) X2P&W PW1000G 75.6kN (17,000lb) X2
最大運用速度マッハ0.78 (956km/h)
最大航続距離1590km2780km3410km1690km2400km3300km
最大離陸重量36,850kg38,995kg40,200kg39,600kg40,995kg42,800kg
離陸滑走距離(最大離陸重量時)1400m1610m1750m1430m1540m1690m
着陸滑走距離(最大着陸重量時)1380m1420m
座席数78席92席

STD:標準型,ER:航続距離延長型,LR:長距離型
受注活動の結果から,100席以上のストレッチタイプも検討


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最終更新: 2020-12-26 (土) 16:07:33 (JST) (1215d) by yuji