いずれの材料も充電電圧は4.2V。マンガン系は,平均電圧が若干(0.1V程度)高く,ニッケル系は電圧が低いところで大きな容量を持っている。
ということで,現在主流のリチウムイオン電池は,正極にコバルト系,負極にグラファイト系を用いた,円筒型または角型のものということになる。
携帯電話ではアルミ缶の角型が,ノートパソコンでは円筒型が主流。
直径(mm単位)+ 長さ(0.1mm単位) 例 18650:直径18mm,長さ65mm
数年前まではニッケル水素電池が使用されていたが,最近はほぼ100%リチウムイオン電池となっている。
使用サイズは,円筒型18650(径18.3mm×長さ65mm)が主流で,薄型にこだわった設計の場合には,角型103450(厚さ10mm ×幅34mm×長さ50mm)が使用されている。
18650セルの容量は,1600,1800,2000,2200mAhと増加して行って,現在は2400mAhとか2600mAhというのがある。18650で,2600mAhという容量はちょっと無理がある容量みたいで,公称容量を実際は下回っているということも多いらしい。
3個直列1個並列,3個直列2個並列,4個直列1個並列,4個直列2個並列のいずれか。
3個直列の電池パックを使用するパソコンのACアダプターは,15~16Vのもので,4個直列系の電池パックを使用するパソコンは,19~19.5Vの物になる。
インテルと電池メーカーがスマートバッテリフォーラムというのを作って,そこで出来た規格がスマートバッテリー規格。SM Busと呼ばれるバスで情報をやり取りする。
最近のノートPC用の電池パックは,スマートバッテリーもしくはスマートバッテリー規格準拠になっている。ただ充電器にまでスマートバッテリー規格に対応したものは,ほとんどないようだ。
スマートバッテリーの制御に使われるCPUは,TIやMaximのスマートバッテリー用ICを使ったものが多いが,各社の8ビットのマイコンを使って構成した物もある。これらのICは,セルの温度特性,サイクル特性をデータとして持っていて,電池パックの環境,履歴に応じて,あと何分つかえるかという充電残量を計算し,本体に送る。
SM BUSを通して,満充電容量,現在の充電量,このまま使い続けたら何分もつか,充放電サイクル数,などの情報を読み出せるようになっている。MSのWindows 98以降のWindowsにはバッテリーメータが標準で組み込まれている。
スマートバッテリー規格は,ノートPCを想定して策定されたため,セルが1本もしくは2本などと言う小さい電池パックに対しては規格に無理がある。特に大きな問題は消費電流が大きいことで,デジカメなんかの電池パックをスマートバッテリーにすると,放置すると非常に短期間で過放電状態になっちゃうなんてこともある。出荷された電池パックを購入者が手にしたときには過放電状態で充電しなければ使えないということも考えられる。
リチウムイオン電池は充電方法を誤ると,事故をもたらすことがあるって言われている。充電はメーカーが指定した条件内で行うことが重要みたいだ。
普通は,電圧はセルあたり最大4.2V,電流は1C*1以下で行うとされている。
10年前ぐらいは,充電する電圧は4.1Vにするのが一般的で,4.2Vは容量増をねらっての事が考えられる。 もちろん,電圧が低い場合には充電容量が減少することになって,4.1V充電では4.2V充電に対して,約10%充電容量が低下する。しかし,サイクル寿命は相当に改善される。
充電電流が規定値より大きすぎると,負極内に吸収されないリチウムイオンが出来てきて,これが金属リチウムになると言われている。金属リチウムは非常に活性な金属なんで,事故が発生しやすくなる。
ニッケル水素電池に対するリチウムイオン電池の欠点の一つは,急速充電が出来ないことですが,たとえば1Cでの充電の場合には充電開始1時間後には90%が充電されていることになります。0.5Cでの充電の場合では,120分後には90%以上充電されている。電池の容量を満充電の90%と考えた場合は,十分に速く充電できることになる。
充電量は,電流×時間で決まります。
セル電圧が充電中のごく短時間だけ,規格値である4.2Vを超えることを認め,電流値を大きくすることによって,充電時間を短縮しようという方法がパルス充電方式。
この方式は,いろいろな方法が各社で特許を取得しているみたいなんだけど,基本的な方法はセル電圧4.2V以下のときは,例えば電流1Cの一定の時間幅のパルスで充電し,その後のセル電圧をモニターし,セル電圧が4.2V以上ならば充電は停止,4.2V以下ならば再度パルス充電を行うというもの。
多少充電時間が短縮されんだけど,コストアップに見合うだけの効果が少なく,おそらく特許の権利関係が複雑でなんで,パルス充電方式を採用していない充電器も多い。
リチウムイオン電池に限らず,電池には内部放電(自己放電)があり,これをゼロにすることは出来ない。二次電池の中では,リチウムイオン電池はニッカド電池やニッケル水素電池に比較して内部放電の非常に小さな電池ではある。
18650サイズの円筒型リチウムイオン電池で自己放電電流は,温度が10℃上昇すると,値が2倍になると言われているようだ。だが確かに温度が高いほど電池がすぐなくなっちゃう気がする。
高い電圧を保持したまま保存すると,この自己放電量が大きいため使う時になくなっていたり,電池そのものの寿命にも影響する気がする。
3.4V程度での保存が良さそうな感じだ。
直列で複数のセルを接続して使っている場合で,この自己放電特性が大きく違っているものを組み合わせていると問題が出てくる。
セルが放電していくと,自己放電容量が大きい電池が過放電保護機能が作動して放電を先に止めちゃう。こうなるとユーザーは電池がなくなったと判断して充電する。
しかし充電していくと,今度は,自己放電容量が小さい電池の過充電保護機能が作動して,充電を止めてしまう。つまりこの電池パックはその中間の容量にしか使えない電池になってしまう。
電池メーカーはこのようなことにならないようにセルのチェックをして,大きな事故放電があるようなセルは不良にするという対策をしている。しかし多かれ少なかれ,この問題は完全には解決できていなくて,結果当たり外れに遭遇するということになっている。
車で使うリチウムイオンバッテリーではどうしているんでしょう?
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