WindowsマシンでMIDIデータを演奏する場合,通常は演奏するアプリでMIDI出力デバイスをデバイスドライバーのMIDI Driverから選択して使用する。
WindowsでのMIDI Device Driverは,アプリケーションがMIDIデータを演奏する時に使用するデバイスドライバー。
音源モジュールや楽器をMIDIインターフェースを使ってPCと接続すると,用意されているデバイスドライバーをロードし使えるようになる。
このようなSound InterfaceやMIDIインターフェースなどの実際のハードウェア用のデバイスドライバーもあるが,仮想的なMIDIデバイスドライバーっていうのもある。
ソフトウェア音源モジュールシンセサイザーはPCのみで音源モジュールとして動作するので,同じPCの演奏アプリケーションと接続するために,この仮想MIDIデバイスドライバーが使われる。
例えばTiMidity++の音源モジュールシンセサイザーTWSYNTHでは,
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\Current Version\Drivers32 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Microsoft\Windows NT\Current Version\Drivers32
のレジストリーにある,midi, midi1, midi2, midi3, ...., midi9, midimapperのどれかがwdmaud.drvからtimiditydrv.dllという仮想MIDI Driverを登録して使っている。
しかし,timiditydrv.dllの仮想MIDIデバイスドライバーはデジタル署名されていないため,Windows 10/11にインストールするのはちょっと面倒である。
Coolsoftの音源モジュールシンセサイザーVirtual MIDI Synthをインストールした場合,VirtualMIDISynth.dllという仮想MIDI Driverがインストールされる。
この仮想MIDI DriverはWindows 10で必要なデジタル署名されているのでWindows 10/11にはインストールしやすい。
その音源専用のMIDI Driverが用意されているのが通常だが,仮想MIDIケーブルと呼ばれている特定の音源用の物ではなく汎用の仮想MIDI Driverもある。
TiMidity++の音源モジュールシンセサイザーTWSYNTHでも使える。
仮想MIDIケーブルの代表的なものとしては,
があるが,Windows 10/11ではloopMIDIを使うのがおすすめ。
この仮想MIDIケーブルを使用すると,音源専用のMIDI Driverが無い音源モジュール(VSTiなど)でもMIDI演奏アプリケーションと接続できる。
この時は,
MIDI演奏アプリケーション ---> 仮想MIDIケーブル ---> MIDI音源モジュール MIDI出力に仮想MIDIケーブルを (MIDI Driver) MIDI入力に仮想MIDIケーブルを 指定する 指定する
となる。
Windows XP以降のWindowsにはソフトウェアMIDI音源であるMicrosoft GS Wavetable SW Synth*1が搭載されている。
Windowsの標準マルティメディア・プレーヤーであるWindows Media Playerやゲーム等でMIDIデータを演奏する場合,自動的にのMicrosoft GS Wavetable SW Synthが使われる。
この時,MIDI音源を使用する時に「既定のMIDIデバイス」が使われるようになっているが,この「既定のMIDIデバイス」で音源を選択できるようにする機能がMIDI Mapper。
Windows XPでMicrosoft GS Wavetable SW Synthではない別のMIDI音源などを使用したい場合は,コントロールパネルにあるMIDI Mapperを使って他のMIDI音源(MIDI Driver)に切り替える事ができた。
Windows Vista/7ではコントロールパネルのMIDI MapperがMicrosoftにより機能を削除されてしまったので,「既定のMIDIデバイス」を他のMIDI音源に切り替えることが出来なくなった。
しかしMicrosoft GS Wavetable SW Synthと他のMIDI音源を切り替える仕組み自体はまだ残っていて機能するため,レジストリを変更するかWindows Vista/7のコントロールパネルとして動作する3rd PartyのMIDI MapperやMIDIせれくたーというツールを使うことでWindows XPと同様に切り替えることが出来た。
その後,Windows 8/8.1以降のWindowsでは,この切り替えの仕組み自体も削除されてしまったようだ。
このためWindows Vista/7のコントロールパネルで動作する3rd PartyのMIDI MapperやMIDIセレクターといったフリーツールを使っても切り替えることが出来なくなり,Microsoft GS Wavetable SW Synthのみが音源として使用出来るようになってしまった。
Microsoft GS Wavetable SW Synthはあまり良い音ではないので,もう少し良い音にするためにMIDI Mapperを使っていたのだが・・・
一般的なMIDIデータを演奏するアプリではMIDIデバイスドライバーで出力先を切り替えられるので,あまり問題にはならなかったのかも。
Windows XPのMIDI MapperやVista/7での3rd PartyのMIDI Mapperも,仮想MIDI Driverの一つとして実装されているようだ。
どちらかを使用するとWindows Vista/7でWindows Media Playerなんかを使う時に,Microsoft GS Wavetable SW Synth以外のMIDI Driverを使った音源で演奏することが出来る。
つまり,MIDI音源モジュールシンセサイザーなんかを使えるようになる。
Windows 8以降では,Windows Vista/7で使えてた3rd PartyのMIDI MapperやMIDIせれくたーは機能しなくなってしまったので,別のMIDI Mapperが開発された。
これらのどちらかを使用すると,Windows 8以降(Windows 10/11でも)でWindows Media Playerやゲーム等から他のMIDI Driverを使った音源で演奏することが出来るようになる。
つまり,他のMIDI音源モジュールシンセサイザーなんかを使えるようになる。
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