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車/燃料電池車
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なんかなかなか普通の人が購入できる「燃料電池車の市場投入が2015年から始まる」っていうニュースを見た。EVの影に隠れちゃって姿を消しちゃうかに思ってた燃料電池車だけど,普及へいろいろなメーカーがかんばっているみたいだ。 EVと燃料電池車は,電気の電源としてのバッテリーの違いがあるのみで,その他は両タイプとも共有できるから,開発しやすいはずである。 *水素インフラ [#a8c0ab5a] 燃料電池車の普及には水素ステーションの整備が不可欠である。2011/01に水素供給事業者((JX日鉱日石エネルギー,出光興産,岩谷産業,大阪ガス,コスモ石油,西武ガス,昭和シェル石油,太陽日酸,東京ガス,東邦ガスの10社))の共同宣言が行われたらしく,4大都市圏(首都圏,中京,関西,福岡)を中心に2015年までに100カ所程度の水素ステーションを作って,2025年までに800~1000カ所の計画らしい。100カ所は少ないなと思うけど,今の経済状況だとしょうがないのかもしれない。 現在の水素ステーションの建設費用は,欧米だと既に1億円以下で出来るんだけど,日本だと政官財の癒着や水素に対する安全規制なんかで6億円位かかっちゃう。2億円程度を目指すらしいが,なんでも日本はコストが掛かる仕組みになっちゃうわけで,ほんとこのへんを変えてくれないとダメなんだけどね・・・ | |導入期2015年|普及時期2030年|h |設置箇所|100カ所|1000カ所以上| |ステーションのコスト|1万円/kW|5000円以下/kW| |水素の価格|60~80円/L(700~900円/kg)|40円/L(450円/kg)| 別の観点から見ると,現在のガソリンスタンドの給油機との併設ができない。また輸送用の車両を考えたときは,FCV60台分の水素しか輸送出来ない。セルフ充填が禁止されている。とか,法律を変更する必要があることなどの問題もある。 水素ステーションでの水素の価格目標だが,ガソリン換算で60~80円/Lが目標になっている。2015年の導入時期にはこの価格は,何らかの補助金なんかがないと実現は難しいだろうな。 **水素をどうやって作るのか [#zddb812c] 地球上では,水素はそのままで存在していないんだよな。水素と酸素の化合物な水は山ほどあるんだけど。~ 水素を原油なんかから作るというのは,原油依存からの脱却という意味がなくなってしまうし,将来原油価格はどんどん上がるだろうから,検討する意味がない。~ 風力発電などの余剰電力を使っての水の電気分解で製造したり,バイオ燃料からの改質ということになるんだろう。アメリカなんかは,バイオ燃料開発をバシバシやっているからね。 *車両価格 [#w6026299] 数年前のホンダのFCXやトヨタのFCHVの製造コストは1億以上だとか言われていた。どうも現在は1000万円以下に下がっていて,2015年には500万円程度の車両価格を目指しているらしい。お金持ちには買える価格かな。 *EVの問題 [#n2df4660] CO2の削減と原油依存からの脱却という大きな課題が日本にはある。とにかく日本はエネルギーの元になる原油を莫大な量ドル建てで輸入しているんで,とんでもない金額が海外に出て行ってしまっている。((原油輸入量は年間2億5000万kLぐらいで,2011年だと約2000億USドルで,2005年比で年間1000億USドルも増えて流失している)) 水素をどう作るかが当然カギにはなってくるんだけど,ガソリン車より燃料電池車の方がCO2削減や原油依存からの脱却という意味では有望だと思う。 EVでもCO2は出さないが,大容量のリチウムイオン電池を積んでも((日産のリーフだと約300kgものリチウムイオン電池を搭載しているけど,走れる距離はカタログ値で200km。実際には100kmも走れないけどね。))250kmを超える走行距離は現実的ではなくなってしまう。なにせ充電時間がすごくかかるから。家庭用電源で7,8時間もかかっていて,電池を2倍にして250km走れるようにしたら16時間も充電にかかっちゃう。しかも電池の老化があり,交換に150万円とか200万円とかかかっちゃう。 EVだとリチウムイオン電池を日産リーフ,三菱i-MiEVも使っているが,ノートPCや携帯電話もリチウムイオン電池を使っていて,使い方にもよるが1年もするとかなり持ちが悪くなってしまう。~ 当然EVであっても同じで,少し前だと20万円/kWhとも言われていた高価なリチウムイオンなんで((最近は10万円/kWhぐらいかな)),それを24kWh積んでいる日産リーフの場合,電池交換の費用はどのくらいかかるか想像すると恐ろしくなってくる。ハイブリッド車は電池が老化してもエンジンで走れるんで,表面化しにくい問題なんだけど,EVは電池がダメになっちゃったら走れないからね。~ 日産からは,「電池交換時の価格は検討中です」となっている &worried; 日産はリーフに社運をかけているとよく言われるが,このことは色々な意味で本当に思える。少なくとも3年ぐらいするとEVの普及台数にもよるが,台数が多かった場合は社会問題化しているかもしれない。 EVでこの問題を解決するのは,ノーベル級の電池の革新的な発明が必要な気がする。~ |パワートレーン|FCV|EV|エンジン車|>|h |燃料|水素|電気|天然ガス|バイオ燃料| |エネルギー源|◎|○|△|△| |エネルギー効率|40%|36%|15%|15%| |CO2排出量|◎|◎|☓|☓| |燃料コスト|6円/km|2円/km|5円/km|9円/km| |走行距離|○ 500km|☓ 160km|△ 250km|◎ >500km| |充填時間|○ <5分|☓ >30分|○ 3分|◎ 1分| |インフラ|☓|△|○|◎| リーフは,US LA4モードで6.7km/kWhだとの事なので実質3.5km/kWhほどになるかな。深夜電力なら7.5円/kWhなんでだいたい1km走るのに2円ぐらい。(深夜電力でなければ3倍になる)。ガソリンの1/5くらいになる。深夜電力じゃない場合は基本料金を入れるとたいしてガソリンと変わらないってことになる。 *非常用電源としても使える [#l679dabd] 東日本大震災以降,車の電池を非常用電源として使うということが結構現実的に思えてきた。EVだと日産や三菱が変換装置を発表している。フル充電のリーフだと約2日分に相当するらしい。~ FCVだと5倍ぐらいの電力があるんで,約10日は非常用電力源として使えるのはなかなか良い。 ||利用可能エネルギー|使用可能電力量|h |日産 リーフ|リチウムイオン二次電池 24kWh|一般家庭約2日分(1日あたり10k~12kWh)| |トヨタ FCHV|水素(6kg) 118.8kWh|一般家庭約10日分| |トヨタ FCHV-BUS|水素(23kg) 455.4kWh|一般家庭約40日分| ''参考:'' | |利用可能エネルギー|単価または価格|使用可能電力量|h |TOYOTA プリウス|ニッケル水素二次電池 1310Wh((1.2V/6.5Ah x 168本 = 201.6V))|128000円|ヘアドライヤーを1時間分| |Panasonic 40B19L|鉛二次電池 12V/28Ah = 336Wh|2980円|LCDテレビを2時間分| 企業のバックアップ電源として100kWhのバックアップ電源を考えた場合,プリウス+300個の鉛バッテリーを満充電が必要になる&worried; (プリウスはなんの意味もないが・・・)~ この場合,電池部分で350万円ぐらいかかるが,それを安全に充電できる環境を作るとなると,その倍の価格は必要になる。また2年ぐらいで鉛バッテリーの交換も必要なんで,その時は300万円程度メンテナンス費がかかることになる。 *燃料電池の課題 [#lbdcc6f3] | |導入期2015年|普及時期2030年|h |変換効率|60%|60%| |耐久性|5000時間|5000時間| |作動温度|-30~100℃|-40~100℃| |燃料電池のシステムコスト|1万円/kW|5000円以下/kW| |燃料電池スタックのコスト|6000円/kW|2500円以下/kW| **燃料電池スタック [#rc9ebeee] 触媒に使われる白金(Pt)が非常に高価。こいつの使用量を劇的に下げる必要がある。既に2000年ぐらいの最初のFCVに比べて,現在は1/10ぐらいの使用量になっているようだ。~ 1台あたりのPtの使用量は20~40g程度なので,当初Ptだけで数百万したコストが10~20万円と大幅にコストは低下できている。たぶん2015年市場投入のFCVには既に目標達成していると思われる。~ 田中貴金属工業は,PtとコバルトCoを合金化したPt-Co触媒で,1.5倍の高出力化が可能と発表している。さらにPt使用量は削減できることになりそうだ。 **水素タンク [#ic4de574] 安全性を確保する必要があるため,炭素繊維強化樹脂(CFRP)を使っているので,これも非常に高価。材料コストだけで50万以上かかっているみたいだし,タンク製造時間も数時間かかるという具合にとにかくコストが高い。リース販売中のホンダのFCXだと水素タンクを2本から1本にすることでコストを下げた。トヨタではこの水素タンクは内製らしくて,2015年までに現在の1/3のコストにすると言っている。~ 各社共同または専門メーカー等から標準品を作って,各社共通品としないと価格は下がって行かないと思うんだけどなぁ・・・ **耐久性 [#l9eda22c] 普通の乗用車としては20万km(5000時間)を寿命目標にしているみたいだ。これは既に解決しているようで,「50万km走行後でも燃料電池スタックの出力は3割低下程度で壊れることは無い。」とトヨタでは言っている。トラックなどの商用車では60万kmぐらいの耐久性は必要なんで,その辺を目指すようだ。乗用車ということでは,既に問題ないレベルに達しているということになる。 **低温動作性 [#u0a01619] 燃料電池は,発電セル内で水が発生するんで,低温時にもその水分管理が必要になる。現在は-30℃で問題ないレベルとのこと。
車/燃料電池車 のバックアップソース(No. All)
現: 2020-12-26 (土) 15:07:45
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