Windows10でのパーテーション構成は,バージョンごとに変更されている。
以下は,それを調べた情報です。
Windows10のパーテーション構成の説明の前に,私の現在のPCを例にしてWindows7のパーテーション構成がどうなっているか調べてみる。
BIOS/MBRベースのdisk0
Systemで予約 | C: |
100MB | 465.7GB |
NTFS | NTFS |
BIOS/MBRベースのdisk1
D: | E: | 未割り当て |
977.5GB | 540.5GB | 345.0GB |
NTFS | NTFS |
私の現在のWindows7のHDDのパーテーション構成(2個のHDD)
Windows7では,Systemで予約(システムパーティション)とC:等のWindowsパーテーションがある。PCメーカーから販売されているPCでは,この他にリカバリ用のパーテーションがある。
Windows XPの時にはWindowsパーテーションしかなかったのですが・・・
システムパーティションには,bootmgr等のブートに必要なファイルがあって,ブートパーティション(アクティブ)になっています。
上記の私のWindows7をWindows10にアップグレード後のパーテーション構成はこのようになっている。
BIOS/MBRベースのdisk0
Systemで予約 | C: | 回復パーテーション |
100MB | 465.1GB | 607MB |
NTFS | NTFS | NTFS |
BIOS/MBRベースのdisk1
D: | E: | 未割り当て |
977.5GB | 540.5GB | 345.0GB |
NTFS | NTFS |
disk0は,C:に割り当てられていたパーテーションを465.7GBから465.1GBに縮小し,その後に新しく607MBのパーテーションが作成されている。
新しく作成されたパーテーションは回復パーテーションと思われる。
Windows7をWindows10にアップグレードしようとしたところ,「アップグレードに失敗しました」でアップグレード出来なかった。
C:パーテーションをディスクデフラグした後,やっとアップグレードが出来ました。またアップグレードで非常に時間がかかったのも,パーテーションを縮小するのに時間がかかったんだと思う。
現在のWindows10では,以下のようなパーテーション構成とするようにMicrosoftが推奨しています。(しかし,Windows10をクリーンインストールした時はこの推奨パーテーション構成にはならないが・・・)
最近販売されているWindows10がインストールされたメーカー製PCやMicrosoft Surfaceでは,この構成になっているようです。
BIOS/MBRベースのdisk0の推奨パーテーション
System | Windowsパーテーション | 回復パーテーション |
min 100MB | 32bit:16GB以上 | 500MB未満:WinRE +50MBの空き |
BCDを配置 | 64bit:20GB以上 | 500MB以上:WinRE +320MBの空き |
NTFS | (1GB以上は1GB以上の空きを推奨) | |
回復ツール(WinRE)を配置 |
UEFI/GPTベースのdisk0の推奨パーテーション
EFI System | MSR | Windowsパーテーション | 回復パーテーション |
min 100MB | 16MB | 32bit:16GB以上 | min 300MB |
FAT32必須 | 64bit:20GB以上 | 500MB未満:WinRE +50MBの空き | |
BCDを配置 | NTFS | 500MB以上:WinRE +320MBの空き | |
(1GB以上は1GB以上の空きを推奨) | |||
回復ツール(WinRE)を配置 |
現在のMicrosoftからのWindows10 推奨パーテーション
BCDは,ブート構成データ(Boot Configuration Data)で,ブートローダーが参照するためのデータが格納されている。
回復パーテーションは,Windows10をいわゆる「工場出荷」時や「以前のバージョン」などの特定の状態へ戻すためのプログラムやデータを保存している特殊なパーティション。
間違っての変更や削除を防止するため,回復パーティションには通常ドライブ文字が無く,Windowsエキスプローラーからは見えなくなっている。
MSRは,なんのために使用しているかは不明。
実際にWindows10(1709以前)のクリーンインストールを行った後,Windowsアップデートにより1709に更新し,さらに1803に更新した後のパーテーション構成は以下のようになっていた。
BIOS/MBRベースのPC:1803にアップデート後
Systemで予約 | C: | 回復パーテーション |
500MB | 59.03GB | 493MB |
BCDを配置 | NTFS | NTFS |
UEFI/GPTベースのPC:1803にアップデート後
回復パーテーション | EFI | MSR | C: | OEMパーテーション |
499MB | 99MB | 16MB | 125.51GB | 904MB |
BCDを配置 | NTFS | NTFS |
Windows10 1709以前でクリーンインストール -> 1709アップデート -> 1803アップデート
Windows10 1709にアップデート時点では,BIOS/MBRベースのPCでは3つ目(493MB)の回復パーティション,UEFI/GPTベースのPCでは5つ目(904MB)のOEMパーティションは存在しなかった。
これらのパーティションは,WindowsアップデートによるWindows10 1803へのアップグレード時に,Windowsパーティション(C:)を縮小して自動で追加作成されたパーテーションと考えられる。
UEFIでは大きく変更されている。それは,回復/OEMパーティションが,ディスクの先頭と最後に2つ存在しているところ。
実は,前方の回復パーティションは事実上空っぽであり,何の用途にも利用されていない。(無駄)
初期のWindows10をクリーンインストールする時は,Windowsセットアップが作成する既定のパーティション構成は現在の推奨パーティション構成とは異なっていて,従来のパーティション構成を引き継いでいた。
従来のパーティション構成とは,Windows8.1の既定(Default)パーティション構成のそれに近いもの。
しかし,Windows10 1803ではそのサイズに収まりきらなくなり,アップグレード時(BIOS/MBRベースは2018/04のリリース時,UEFI/MBRベースは2018/07のリリース時)に回復パーティションが後ろに追加され,上記の表のようになったと考えられる。
BIOS/MBRベースのdisk0(クリーンインストール時)
System | Windowsパーテーション |
v511-1703: 500MB | disk0の残りの領域 |
v1709-1803:549MB | v1803 2018/07リリース時はWinREがC:\Recovery\WindowsREにセットされる。 |
BCD+WinREを配置 | NTFS |
UEFI/GPTベースのdisk0(クリーンインストール時)
回復(回復ツール) | EFI System | MSR | Windowsパーテーション |
v1507-1704:4500MB | 99MB | 16MB | disk0の残りの領域 |
v1709-1803:499MB | BCDを配置 | v1803 2018/07リリース時はWinREがC:\Recovery\WindowsREにセットされる。 | |
WinREを配置 |
Windows10のクリーンインストール時のパーテーション
Windows8.1では,BIOS/MBRベースのシステムパーティションの既定サイズは350MB,UEFI/GPTベースの回復ツール(WinRE Tools)パーティションの既定サイズは300MB。
Windows7のシステムパーティションの既定サイズは100MBだったが,それ以前のバージョンアップグレードした場合は,シングルパーティション構成の場合もあった。
Windows10の場合,Windows8.1とは異なり回復用のカスタムイメージを必要としなくなった。
そのため,Windows8.1の推奨パーティション構成にある回復パーティションを,Windows8.1と同じ用途(OEMベンダーが工場出荷時イメージを格納するため)に使用することはなくなった。
Windows10 1709までは,このパーティション構成で問題はなかった。 なぜなら,1709までの回復ツール,Windows回復環境(Windows Recovery Environment:WinRE)のイメージ「WinRE.wim」のサイズが,要求される空き領域を考慮しても表4のパーティション構成に収まっていたから。
自分でWindowsをクリーンインストールする場合,作成される既定のパーティション構成は,最新のWindows10 1803(2018/07リリース)でも変わっていない。
この結果,先頭にある回復パーテーションに収まり切らなくなってしまったWinREは, C:\Recovery\WindowsRE にセットアップされてしまい,先頭の回復パーティションが使用されないという残念な問題が発生することになっている。
つまり,アップグレードでは推奨パーティション構成の一部(ディスクの最後の回復パーティションに回復ツールを配置する)が作成される構成になるのだが,クリーンインストールではそのようにならない。
Windows10 1809(2018/10/02リリース,ただし,10/06より提供が停止されて,修正版が11/14に再リリース)のクリーンインストール時に作成される既定のパーティション構成もこの問題のまま変更されていません。(困ったものです。) ただし,WinRE.wimのサイズがコンパクト(32bit版で約321MB,64bit版で約442MB)になったため,先頭の回復パーテーションに配置はされるようにはなっている。(ただし,回復ツールのみで,回復時に使用するイメージファイルは含まれていない。)
これからWindows10を導入(Windows7からのアップグレード)するという企業も多い。
その際,大量のクライアントPCをセットアップするために,イメージ展開でのインストールをとることもある。
この場合は,Microsoftからの推奨パーティション構成をして,十分な容量の回復パーティション(最小1GB,推奨2GB程度)を準備するようにすべきです。
推奨パーティション構成は,Windows10のどのバージョンをインストールするのかに関係なく,採用すべきです。
なぜなら,回復パーティションに十分な領域がない場合やWindowsセットアップの既定にまかせてインストールすると,Windows10 1803のクリーンインストールでは,WinREがC:ドライブにセットアップされるという問題が出るからです。
また,それ以前のWindows10をクリーンインストールする場合でも,1803以降へのアップグレード時に余計な回復パーティションが追加作成されることになるのも問題です。
Windowsセットアップメディアを使用して,推奨パーティション構成でWindows10をクリーンインストールするには,次の手順でWindows10をインストールするようにします。
> notepad X:\CreatePartitions-BIOS.txt select disk 0 clean create partition primary size=100 format quick fs=ntfs label="System" active create partition primary shrink minimum=1024 format quick fs=ntfs label="Windows" create partition primary format quick fs=ntfs label="Recovery" set id=27 list volume exit
> notepad X:\CreatePartitions-UEFI.txt select disk 0 clean convert gpt create partition efi size=100 format quick fs=fat32 label="System" create partition msr size=16 create partition primary shrink minimum=1024 format quick fs=ntfs label="Windows" create partition primary format quick fs=ntfs label="Recovery tools" set id="de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac" gpt attributes=0x8000000000000001 list volume exit
この例では,回復パーティション用に1GBを割り当てている。これ以上のサイズを割り当てたい場合は,shrink minimum=<サイズ(MB)>の行で調整すれば良い。
また注意することとして,今ではもうほとんど使われてないとは思うが4KBセクターの場合は,size=260のようにしてサイズを大きくする必要がある。
> DiskPart /s X:\CreatePartitions-BIOS.txt
> DiskPart /s X:\CreatePartitions-UEFI.txt
ドライブ0 パーティション2:Windows(プライマリ)
ドライブ0 パーティション3:Windows(プライマリ)
この手順でクリーンインストールすると,最小のパーティション数と最適なパーティションサイズでWindows10とWinREを適切にセットアップ出来る。
コマンドプロンプトやWindows PowerShellを管理者として起動し,
> reagentc /info
で,WinREのセットアップ状況を確認出来る。
イメージ展開用のマスターイメージを取得するためのPCにインストールする場合は,推奨パーティション構成にこだわる必要はない。
なぜなら,イメージ化するのはC:ドライブだけなのと,推奨パーション構成はイメージ展開の際に実装すれば良いから。
上記でBIOS/MBRやUEFI/GPTというのが出てくるが,このMBRやGPTというのはストレージのパーテーションを管理する手法のことです。
HDD/SSD等のストレージは,どちらかのパーティション管理を使って初期化され使用されます。
BIOSとUEFIは,PCのファームウェアの仕組みの違いで,BIOSはIBM PC時代から使われているファームウェアの仕組みで,UEFIはそのBIOSを置き換えてより高度な処理ができるようにしたファームウェア。
Windows OSを使用する場合には,BIOSではMBRしか使えず,UEFIではGPTしか使えません。
他のOS(Linux等)では,BIOSでGPTを使用するといったことが問題なく使用できます。
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