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現: 2022-11-17 (木) 08:04:34 yuji  |
| + | * KiCadで電子回路設計 [#c563f7f9] |
| + | [[KiCad(キキャド)>https://www.kicad.org/]]は,オープンソースで開発されている無料で使用できるプリント基板設計CADソフト。~ |
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| + | Windows,Linux,macOSのクロスプラットフォームで動作するアプリケーション。多数の言語がサポートされていて,もちろん日本語も対応している。~ |
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| + | シンプルな機能と操作性を持っていて,使いやすい電子回路設計・プリント基板設計CADになっていると思う。~ |
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| + | KiCadは主に7つの機能で構成されていて,電子回路図の作成,プリント基板の設計,ライブラリの作成・編集,ガーバーデータの出力,などプリント基板開発で必要となるほぼ全ての作業を行うことが出来ます。~ |
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| + | またSPICEシミュレーターが統合されているようで,設計した電子回路の動作シュミレーションも行えるみたい。~ |
| + | |プログラム名 |説明 |ファイル拡張子 |h |
| + | |KiCad |プロジェクトマネージャー |*.pro | |
| + | |Eeschema |電子回路図と電子部品(コンポーネント)のエディター |*.sch, *.lib, *.net | |
| + | |Pcbnew |プリント基板とフットプリント(電子部品用)のエディター |*.kicad_pcb, *.kicad_mod | |
| + | |Gerbview |ガーバーデータとドリルファイルのビューア |*.g*, *.drl | |
| + | |Bitmap2Component|画像データをコンポーネントやフットプリントに変換 |*.lib, *.kicad_mod, *.kicad_wks| |
| + | |Pl Editor |図枠エディター |*.kicad_wks | |
| + | |PCB Calculator |コンポーネント,カラーコード,線幅,電気的に安全な間隔等のためのツール| | |
| + | 設計するプリント基板サイズに制限がなく,最大32の導体レイヤー,最大14のメカニカルレイヤー,そして最大4の補助レイヤーを扱うことが出来る。~ |
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| + | [[日本ユーザコミュニティサイト>https://kicad.jp/]]もあります。 |
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| + | * KiCadのダウンロードとインストール [#y1405345] |
| + | [[KiCad>https://www.kicad.org/]]は,[[こちら>https://www.kicad.org/download/]]からインストーラーがダウンロードできます。(最新バージョンは9.0.1)~ |
| + | 使用しているOS用のインストーラーをダウンロードします。~ |
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| + | Windowsではダウンロードしたファイルをダブルクリックするとインストール出来る。インストールは,デフォルト設定で特に問題はなかった。~ |
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| + | Windowsのスタートメニュー等にあるKiCadアイコンを起動すると画面が表示された。~ |
| + | #ref(kicad.png,,50%) |
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| + | * KiCadでの基板設計のやり方 [#nf63f276] |
| + | KiCadを使って電子回路を設計・プリント基板のデザインを行う場合は,以下のような流れで行います。~ |
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| + | 作業内容としては,''電子回路図の作成''と''プリント基板の設計''という大きく2つのタスクがあります。~ |
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| + | ** プロジェクトの作成 [#o7a5a76f] |
| + | KiCadを起動するとプロジェクトマネージャーが表示されます。~ |
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| + | KiCadで電子回路の設計を行う場合は,プロジェクトマネージャーを使って最初にプロジェクトを作成します。~ |
| + | 通常は新規に空のプロジェクトを作成します。~ |
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| + | プロジェクトを作成するには,メニューバーの「ファイル」→「新規プロジェクト」で任意のプロジェクト名を入力してプロジェクトを作成します。 |
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| + | 新しいプロジェクトは,テンプレートから選択して作成することも出来ます。~ |
| + | テンプレートには,事前に定義された基板外形・コネクタ位置・回路要素・設計ルールなどが登録されている。前もって回路図の一部や基板デザイン済み含めることも可能。~ |
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| + | メニューの「設定」→「設定」(Ctrl+,キー)で,KiCadの全体的な動作設定が行なえます。~ |
| + | ここでは,バックアップファイルの設定やショートカットキーのアサインなどを設定します。~ |
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| + | 以下のショートカットキー(ホットキー)を追加設定した。~ |
| + | |コマンド |キー|h |
| + | |アイテムを選択|@ | |
| + | |ズームイン |PgUp| |
| + | |ズームアウト |PgDn| |
| + | |終了 |Ctrl+Q| |
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| + | ** 回路図の作成 [#x25b6e69] |
| + | プロジェクトを作成すると,回路図を作成出来るようになる。~ |
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| + | 回路図を作成するには,プロジェクトマネージャーで回路図エディターのアイコンをクリックする。 |
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| + | *** 回路図エディターを使用する [#h00aa1af] |
| + | 電子回路図を作成するにはKiCadの回路図エディターを使用します。~ |
| + | [[回路図エディターの使い方>./回路図エディタ]] |
| + | |
| + | *** 図面枠を変更する [#kddf69a5] |
| + | 回路図エディターが使用する図面枠を変更する方法です。~ |
| + | [[図面枠を変更する>./図面枠を変更する]] |
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| + | *** 部品シンボルの作成 [#ld629999] |
| + | 電子回路はいくつかの電子部品をそれぞれ接続(配線)して,目的の機能を実現するように設計します。 |
| + | 使用する電子部品は部品メーカーから販売されているものを使うのですが,KiCadでその部品を扱うために部品ライブラリとして,その部品の定義を作成しておく必要があります。 |
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| + | KiCadにはあらかじめ部品ライブラリに多くの部品が既に登録されていますが,必要であれば新たに自分で作成して使用出来るようになっています。 |
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| + | 回路図エディターが使用する部品ライブラリーは,部品シンボルと呼ばれているようです。~ |
| + | [[回路図エディタで新規部品の作り方>./回路図エディタで新規部品の作り方]] |
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| + | *** 回路図作成後のチェック [#x08bfa73] |
| + | 回路図が作成したらその検証を行います。~ |
| + | [[回路図作成後のチェック>./回路図作成後のチェック]] |
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| + | *** 部品表の出力 [#m03da086] |
| + | 回路図の検証が終わって問題なければ,部品表などを出力しておきます。~ |
| + | [[部品表の出力>./部品表の出力]] |
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| + | ユニバーサル基板で電子回路を作成する場合はKiCadでの作業はここまでで,後はユニバーサル基板に作成した回路図どおりに配線等をしていきます。~ |
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| + | ** プリント基板設計 [#ca75e26f] |
| + | 回路図作成が出来たら,必要であればプリント基板のデザインを行います。~ |
| + | 昔は300mmx200mmとかのサイズのプリント基板を回路図を渡してデザインしてもらうのには,300万円程の費用がかかっていました。~ |
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| + | プリント基板のデザインが出来ると,プリント基板製造会社にデータを渡してプリント基板(生基板)の製造してもらうことが出来ます。~ |
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| + | プリント基板のデザイン設計を「アートワーク」とか「レイアウト」とか呼んだりします。KiCadではPCBエディターでプリント基板デザイン設計を行います。 |
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| + | *** プリント基板の初期設定 [#raafd76c] |
| + | プリント基板のデザインは,部品をうまく基板上に配置してその配線を行うことです。~ |
| + | 部品を配置する前に,いくつかの決めておくことがあります。~ |
| + | また配置を行うには前もって回路図で使用した部品(シンボル)に,どのフットプリントを使用するのかの関連付けを行っておく必要があります。~ |
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| + | [[プリント基板の初期設定>./プリント基板の初期設定]] |
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| + | *** フットプリントの作成 [#kea88788] |
| + | プリント基板設計を行う場合には,あらかじめ使用する部品の形状やパターン(フットプリント)を登録しておく必要があります。~ |
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| + | フットプリントは,部品を取り付けるためのはんだ付け用パッドやスルーホール(穴),目印に使うシルクなどをまとめた部品ライブラリーのデータのことです。 |
| + | これを作成・編集するのに使用するのがフットプリント・エディタです。 |
| + | KiCadではあらかじめ多くの部品に対応したフットプリントのライブラリが用意されています。 |
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| + | [[フットプリントの作成>./フットプリントの作成]] |
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| + | パッドの作成方法。~ |
| + | [[パッドの作成方法>./パッドの作成方法]] |
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| + | *** パターン配線 [#g2c4559a] |
| + | プリント基板上で配線していきます。主にトラックを使って配線します。~ |
| + | [[KiCadで配線>./KiCADで配線]] |
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| + | //自動配線の使い方。~ |
| + | //[[自動配線の使い方>./自動配線の使い方]] |
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| + | *** ベタパターンとビアの追加 [#l2c23a20] |
| + | 電源層などをベタパターンにする方法とビアの追加を行います。~ |
| + | [[ベタパターンとビア追加>./ベタパターンとビア追加]] |
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| + | ** 3rd-Partyからの部品ライブラリーを使用する [#c7ba2e37] |
| + | 回路図用のシンボルやフットプリントを新規に作成するのは結構大変です。 |
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| + | いくつかの3rd-PartyからKiCad用の部品ライブラリー(回路図シンボル/フットプリント)が作成されていて,多くの場合無料で利用することが出来ます。~ |
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| + | 3rd-Partyが作成した部品ライブラリーを使用する方法です。~ |
| + | [[外部の部品ライブラリーを使用する方法>./外部の部品ライブラリーを使用する方法]] |
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| + | ** Gerberデータ・ドリルデータの出力 [#y05059ce] |
| + | PCB設計が完了したらプリント基板の製造を依頼する為のガーバーデータとドリルデータを作成します。~ |
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| + | プリント基板の製造はこのデータを元に製作するので,作成したGerberデータとドリルデータの確認をしっかり行う必要がある。~ |
| + | このGerberデータの確認に,KiCADに内蔵されているガーバービューワーが使用できる。~ |
| + | [[Gerberデータの出力>./Gerberデータの出力]] |
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| + | ** プリント基板の製造仕様書の作成 [#fc7f804a] |
| + | プリント基板を製造する時の規格情報(サイズ,層数,基板厚,表面処理方法,穴径・・・),ガーバーデータ・ドリルデータのファイル情報,プリント基板の外形図などをまとめた仕様書を作成する。~ |
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| + | この製造仕様書とガーバーデータ・ドリルデータをプリント基板製造会社に提出することで,プリント基板が製造できる。~ |
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| + | *** プリント基板の外形図の作成 [#zf6a0879] |
| + | ガーバーデータとドリルデータが作成出来たら,プリント基板の各レイヤーごとの外形図を作成する。~ |
| + | プリント基板製造会社がガーバーデータとドリルデータの確認を行うために,外形図を使用するとスムーズに行える。~ |
| + | またVカット等の指示なども外形図で指示できる。~ |
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| + | 作成した外形図は,プリント基板製造会社に提出する製造仕様書に含むようにする。 |
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| + | * KiCadの電子回路シュミレーター [#j56f5aa0] |
| + | KiCadには電子回路シュミレーターのngspiceが組み込まれています。~ |
| + | [[ngspiceを使ってみる>./ngspiceを使ってみる]] |