PX-W3U4は地上デジタル放送x2ch・BS/CS放送x2chの計4chのチューナーを搭載したUSB接続のTVチューナーで,PCでテレビ放送を視聴・録画出来るようにするUSB機器。
販売しているPLEXからはWindows用のデバイスドライバーのみ提供されていて,B-CASカードやテレビの視聴・録画アプリケーションは用意されていない*1。
このためPX-W3U4を使ってテレビを見るには,B-CASカードを別途用意して,汎用のテレビ視聴アプリケーションを利用する必要がある。
WindowsマシンでPX-W3U4を使ってテレビ放送を見れるようにしてみた。
Windows用のPX-W3U4のデバイスドライバーをインストールする。
通常は,PLEX社からリリースされているWindows用のデバイスドライバーをインストールすれば良いようだ。
PLEX社のデバイスドライバー以外に非公式なPX-W3U4用のWindowsのデバイスドライバーとして,2021/07にリリースされたWinUSB版px4_drvというデバイスドライバーがある。
これはLinuxマシンでPX-W3U4を使う時に使われるデバイスドライバーpx4_drvを,Windowsで使えるようにしたもの。
PLEX社のデバイスドライバーだとフレームドロップなどの問題が発生したり動作が不安定になることがあるようだが,非公式デバイスドライバーpx4_drvではこのような問題が少なくなるようだ。
非公式デバイスドライバーpx4_drvを使う場合はPX-W3U4内蔵のB-CASカードリーダーが使用できないので,別途ICカードリーダーが必要になる。
どちらか好みのデバイスドライバーをインストールすれば良いのだが,ノートPCとPX-W3U4を持ち歩く場合には内蔵カードリーダーが使えるPLEX社のデバイスドライバーを使用した。今ではpx4_drvを使うようになった。
PLEX社のPX-W3U4のページから,Windows用のデバイスドライバーでpxw3u4v1.4.zipをダウンロードした。(最新版は202104_PX-W3U4_Driver.zip)
ダウンロードしたzipファイルを任意の場所に解凍しておく。
そして以下のようにデバイスドライバーをインストールした。
古いバージョンのデバイスドライバーの場合,Windows10では環境によってはインストール出来ない場合がある。これは,デバイスドライバーがメーカーでの署名やMicrosoftでデジタル署名されていないため。
こんな理由でWindows10にうまくインストール出来ない場合は,署名なしのデバイスドライバーをインストールする方法でインストールする。
pxw3u4v1.4.zipだとDigiBest Technology Co., Ltd.で署名されているのでインストール出来た。
最新版の202104_PX-W3U4_Driver.zipはMicrosoftでデジタル署名されているので,こちらも問題なくインストールできると思う。
PLEX社のデバイスドライバーではなく非公式のpx4_drvを使用する場合は,こちらのページのようにして,px4_drvデバイスドライバーをインストール出来た。
このデバイスドライバーを使用する場合は,テレビ視聴アプリケーションTVTestが使用するBonDriverも,px4_drv用にビルドしたものを使用する。
もしPCにVisual C++再頒布可能パッケージ(ランタイムライブラリ)がインストールされていない場合はインストールしておく。
ファイルは,Microsoftのダウンロードページの下の方にある「その他のTools、Frameworks、そしてRedistributables」にあるMicrosoft Visual C++ Redistributable for Visual Studio 2022をダウンロードする。
x64とx86版があるが,TVTestが32bit版を使用する場合はx86を,64bit版を使用する場合はx64をダウンロードしてダブルクリックしてインストールする。
TVTestはデジタルTV放送を見るためのアプリケーションで,デジタル放送総合技術研究開発機構がオープンソースで配布している。
日本のデジタルTV放送はMULTI2で暗号化(スクランブル)して配信されている。デジタルTV放送を受信する側では,暗号化されたデータを復号化(スクランブル解除)しないと映像として見ることが出来ない。
この復号化する機能(スクランブル解除)は古いバージョンのTVTestには搭載されていたが,現在のバージョンでは提供されていない。この理由でTVTestは公式には一般のデジタルTV放送を視聴することは出来ないとしているが,第三者による追加モジュールを使用することにより視聴が出来るようになる。
このような状況のためTVTestでPX-W3U4を使用するにはソースコードからビルドして,さらにスクランブルを解除するためのCasProcessorプラグインやBonDriverと言われているライブラリなどもビルドする必要がある。
これらをビルドしたファイルを公開している人がいるので,ありがたく それを利用してインストールすることにする。
ここからTVTest-0.10.0-xxxxxx.zipをダウンロードさせてもらって(自前でpx4_drvとTVTestをビルドしたものはこちら),任意のディレクトリ(例:C:\WinApl\TV\TVTest)に解凍してインストールした。
32bit版か64bit版かを好みで選択する。今回は32bit版(現在は64bit版にしている)にした。
TVTestは,受信したデジタルTV放送をファイルに保存(録画)することも出来る。*2
非公式px4_drvデバイスドライバーを使用する場合は,以下のBonDriverを用意する作業は必要ない。(この場合,BonDriverはWinUSB版px4_drvをビルドして作成された物を使用する。)
BonDriver*3はTVtestとPX-W3U4のデバイスドライバーとの中間で動作するライブラリソフトウェア。
ここからradi-sh氏のBonDriver_BDA改-2019-02-02.zipをありがたく ダウンロードさせてもらって,zipファイルの中にあるBonDriverを使用する。
この時,TVTestが32bit版を使用する場合はBonDriverも32bit版を使用する。 また,Runtimeをインストールしているのでx86_通常版にする。
TVTestを解凍したディレクトリ(例:C:\WinApl\TV\TVTest)に,BonDriverディレクトリを作成する。
そしてBonDriver_BDA.dllをBonDriverディレクトリ(例:C:\WinApl\TV\TVTest\BonDriver)に以下の4つのファイル名で4個のファイルにコピーする。
BonDriver_PX_W3U4_S0.dll BonDriver_PX_W3U4_S1.dll BonDriver_PX_W3U4_T0.dll BonDriver_PX_W3U4_T1.dll
非公式px4_drvデバイスドライバーを使用する場合は,この作業は必要ない。
ここからradi-sh氏のBDASpecial-IT35-2019-02-02a.zipダウンロードする。
PX-W3U4の内蔵カードリーダーを使わず,外付けのICカードリーダーを使う場合や非公式px4_drvデバイスドライバーを使用する場合は,この作業は必要ない。
B-CASカードをPX-W3U4の内臓のカードリーダーで読むために以下のライブラリを用意する。
zipファイルを解凍して,
WinSCard.dll WinSCard.ini
をTVTestをインストールしたディレクトリ(例:C:\WinApl\TV\TVTest)に置く。
B-CASカードは,ハードディスクレコーダーTOSHIBA DBR-Z160の物をとりあえず使っている。
非公式px4_drvデバイスドライバーを使用する場合は,この作業は必要ない。
4個のチューナー用の設定ファイルを用意する。
BonDriver_PX_x3U4_S.iniから以下の2つのファイルを作成して,
BonDriver_PX_W3U4_S0.ini BonDriver_PX_W3U4_S1.ini
BonDriverディレクトリ(例:C:\WinApl\TV\TVTest\BonDriver)に置く。
BonDriver_PX_x3U4_T.iniから以下の2つのファイルを作成して,
BonDriver_PX_W3U4_T0.ini BonDriver_PX_W3U4_T1.ini
BonDriverディレクトリ(例:C:\WinApl\TV\TVTest\BonDriver)に置く。
TVTestで地デジやBS/CSのテレビ放送を視聴するには,MPEG-2デコーダが必要になる。
Windows7ではデフォルトでMicorsoft DTV-DVD Video DecoderというMPEG-2デコーダーがインストールされていたがWindows10では削除された*4ので,そのままでは再生(デコード)出来ない。
TVTest以外のプレーヤーでもMPEG-2を再生したいのであれば,MPEG-2デコーダをインストールするのだが,既に何らかのDVDプレーヤーなんかがインストールされていてMPEG-2デコーダがインストールされている場合はこの作業は必要ない。
ダウンロードしたビルド済みのTVTest-0.10.0-xxxxxx.zipにはMPEG-2デコーダも含まれているので,TVTestでテレビを視聴するだけであれば別途MPEG-2デコーダのインストールはかならずしも必須ではない。
まだMPEG-2デコーダをインストールしていない場合,以下の方法でMPEG-2デコーダをインストールする。
以下のフリーで利用できるMPEG-2デコーダのどれか一つをインストールすれば良い。
> C:\Windows\SysWOW64\regsvr32.exe TVTestVideoDecoder.ax
> regsvr32 TVTestVideoDecoder.ax
> C:\Windows\SysWOW64\regsvr32.exe /u TVTestVideoDecoder.ax
> regsvr32 /u TVTestVideoDecoder.ax
> C:\Windows\SysWOW64\regsvr32.exe MPCVideoDec.ax
> regsvr32.exe MPCVideoDec.ax
> C:\Windows\SysWOW64\regsvr32.exe LAVVideo.ax
> regsvr32 LAVVideo.ax
MPEG-2: libmpeg2 H264/AVC: libavcodec
TVTestやPX-W3U4用のBonDriverなどのインストールが終わったら,以下の準備を行う。
準備ができたら,TVTest.exeをダブルクリックして起動する。
最初は初期設定画面が表示されるので,いくつか設定を行う。
OKボタンを押すとTVTestが起動してテレビ画面が表示される。
画面を右クリック>設定で設定画面になるので,設定をしていく。
その他の項目も必要であれば設定する。
TVTestは,選択設定した一つのチューナーで視聴・(tsでの)録画する機能しか無い。
2Ch以上で同時視聴・録画する場合は,TVTest自体を複数起動して使用するチューナーをそれぞれ個別に重ならないように設定することで,同時に見たり・録画したりできるようになる。
TVTestはプラグインで機能を拡張できる。
C:\WinApl\TV\TVTest\TVTest.exe /d BonDriver_Pipe.dll /tvtplay
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