ここんとこTOYOTA車の問題が話題になっている。
アクセルペダルが引っかかって戻らなくなっちゃうとかブレーキが利きが甘いとかいろいろあるようだ。
TOYOTA車の問題の原因と言うことではないが,今の車は電子制御がほとんどの制御に使われている。電子制御ってのは,ようは,PCとかでも使っているマイクロプロセッサーやメモリなんかを使ったコンピューターシステムで,ブレーキやアクセル,エンジン,ミッション,ハンドル,サスペンション,空調なんかをコントロールしているってこと。
俺の仕事は分野は違うがまさにこの制御するコンピューターシステムの設計・開発をしているんで,確かに車に電子制御を使うことで低コスト・高性能化しているのは紛れもない事実ではあるが,一方で凄く怖いなぁって常に思っている。
特に車のECUってのは最悪の環境下できちんと動作しないといけない。高温だし,振動しっぱなしだし,細かいゴミとか環境も最悪。こんな環境で長期(10,20年)動作保証しなければならないのは大変だ。大変と言うより不可能っていった方がいいかも。電子部品がいっぱい乗ったプリント基板だって,ハンダ付けされているんだし熱や振動でダメになることもある。コンデンサなんか数年でダメになるなんて普通。外部のノイズ(いろんな物がある。飛行機で電子機器が使えない時があることや,電車で携帯電話を切ってというのと同じ理由である)なんかの誤動作もあり得る。またソフトウェアは人間がプログラムするもんだから,ミスが無いってのは考えられない。こんなことから,残念ながら実際に完全に安全だと言い切れる電子制御装置になってはいない。このような機器をいくつも組み合わせて今の車は出来ているので,ブレーキが効かなくなっちゃうとか,勝手に加速しちゃうっていうのを聞いても別に驚かない。
でもやっぱり車や航空機,電車とか事故が起きたら人の命に関わる乗り物には,こんな事で良いのかっていつも思う。お金をかけたくないんでバックアップシステムを持たないってのは,やっぱりメーカーとして問題だと思う。今後EVに向かう車では電子制御で動かすってのは必然になるんで,ちゃんとこの問題をクリヤーしておかないと・・・
開発者はみんなわかっていることなんだが,どうすれば解決するかがわかっていないんだよね。